2017年7月15日土曜日

クイック・スタート・ビデオ収録の裏側

昨年から公開されている「クイック・スタート・ビデオ」の制作にも関わらせて頂いています。製品の基本的な操作をわかりやすく解説しているビデオで、購入したユーザーが紙のマニュアルを読まなくても、すぐに操作して頂けるようにするためのもの。これまでに以下のモデルの動画を制作しています。(それぞれYouTubeへリンクしています)

・ES-5(スイッチャー)
・ES-8(スイッチャー)
・RC-202(ループ・ステーション)
・VE-8(ボーカル&アコギ用エフェクター)
・GT-1(マルチ・エフェクター)
・KATANA Amp Series(ギター・アンプ)
・Acoustic Singer(アコギ用アンプ)
・MS-3(スイッチャー&マルチ・エフェクター)
・GT-1B(ベース用マルチ・エフェクター)

シンセサイザー、ベース、コーラス、タンバリン(?)まで、ギター以外にもいろいろ演奏しています。

このプロジェクトでは、台本自体はBOSSに用意して頂いていますが、演奏と編集は僕が担当しています。Adobe社製の「Premiere Pro」というソフトを使ってのビデオ編集。面白いんだ、これが。


自宅での撮影風景

今年の上半期までは、ローランド浜松本社内のビデオ用のスタジオで撮影。こんな感じです。


ところが、わざわざ浜松まで行かなくても撮影できるかも、ということに気がついて、6月に公開したMS-3の動画からは、自宅で撮影することになりました。しかも、たったひとりで…。文具店で購入した白いケント紙を敷き、3台のLEDライトを当てて撮影していきます。自分的には、ライティングが一番難しいかも。MS-3の場合は2台のカメラを使い、実機全体とディスプレイ部分のアップを狙います。


本体のケーブル接続の説明をするシーンを撮るときは、ミニ・スタジオ的な台を用意。


ローランドのスタジオでは演奏を同時に撮っていましたが、自宅ではスペース的に無理。なので、演奏シーンだけは別撮りしています。このビデオ収録では背景の布の皺が映ってしまったのが反省点。でも、背景にライトを強く当てることで回避できることを発見!GT-1Bのビデオでは問題解消しています。


該当のモデルを購入した際には、是非、参考にしてください。

RV-500とMD-500のデモ・ムービー

チュートリアル・ビデオではなく、製品のプリセットを聴かせるデモ・ムービー的なものを、とBOSSからのリクエスト。普通に自宅撮影の雰囲気でOKということだったので、自室の作業机を背景に撮ることにしました。しかし、字幕もナレーションも無い動画では間が持たないし、完全自撮り環境ではカメラ自体を動かすこともできません。そこで、カメラの数を増やす作戦にしました。古いコンパクト・デジカメやiPhone 6sも動員しての4カメ体制です。部屋の中は機材でゴチャゴチャ。4台のカメラのスタート・ボタンを押し、音を収録するDAWの録音をスタートさせてから演奏するのは結構、緊張します。


iPhoneのカメラは、画角がどうなっているかを確認できないので、裏側に鏡を置いて液晶画面が見えるようにしています。


どちらのモデルも96kHz32ビットという高音質仕様。この動画でもなかなか良い音で録音できたと思っています。因みにアンプは「WAZA Amp Head」のラインアウトを使用。これも素晴らしいアンプなので、後日にレビューしますね。RV-500とMD-500の動画も是非、ご覧ください。



今のところ、ユーチューバーになるつもりはありませんが、自分でビデオを撮影する方法がわかったので、ブログ用にも何か撮影してみようかとも考えています。

2017年7月12日水曜日

祝!BOSS OD-1復活!!

1977年にリリースされた、最初期のBOSSコンパクト3機種をまとめての復刻のニュースに、沢山の人が驚かれたのではないでしょうか?「技クラフト・シリーズ」で“DM-2W”、“VB-2W”や“CE-2W”といった過去モデルのリイシューはありましたが、「豪華仕様の3モデルのボックス」で、「1500セット限定」とは…。今年は何と言っても「BOSSコンパクト発売40周年」ですし、中古市場で高騰している4段フェイザーの「PH-1」、希少な1バンドパライコ「SP-1」、そして、オーバードライブの伝説的名機「OD-1」の3モデルのセットなわけですから、とにもかくにも嬉しい復活です。同じく、新製品のマルチエフェクト・スイッチャー「MS-3」や「RV-500」などと一緒にボードに並べてみました。


そうそう、同じく40周年記念の「DS-1」のブラック仕上げバージョン「DS-1 4A」もありますぜ。


OD-1との出会い

1970年代、エフェクターは国産のものよりも、欧米製のモデルのほうがブランド力がありました。中でも、70年代後半は「MXR」の独壇場ともいえる状況。BOSSはコーラスの「CE-1」を始め、いくつかのモデルを発売していたものの、全て大型のモデルで当初は影が薄かったと思います。国産メーカーだと、エフェクターに限って言えば「Maxon」や「Guyatone」のほうが存在感があったように記憶しています。高校生だった僕も必死でバイトしながら、「アタッチメント」(当時はエフェクターをそう呼んだのです)を1つずつ買い揃えていきました。
 1977年にOD-1が発売されると、特に国内のスタジオ系プレーヤーに圧倒的に支持されます。その結果、70年代後半から80年代に掛けての多くの歌謡曲やJ Pop(ニューミュージック?)で使用され、今でもそのサウンドをさまざまな作品で確認することができます。僕自身は、最も尊敬するギタリスト、森園勝敏さんがMXRの「Dyna Comp」と「OD-1」、そしてローランドのアンプ「JC-60」の組み合わせで演奏していて、そのサウンドに衝撃を受けて新品で購入したのが最初の出会い、1983年のことです。

ゲットしたのはいわゆる「黒ネジ」で、オペアンプはNEC製のC4558Cという仕様。現在では、OD-1は発売期間中に使用パーツや回路の変遷があったことがよく知られています。(勿論、当時は知りませんでした…)



持つべきものは…

何年か前に、高校時代のバンド仲間と久しぶりに一緒に演奏する機会あって、その際、ベース担当の石黒くんが「僕が持っているより中野くんが持っているほうが良いと思う」といって、古いエフェクターをいくつか譲ってくれたのです、ありがたいことに。何と、その中に79年製「銀ネジのOD-1」が含まれていたのです。嬉しくて2個を並べて撮った写真がこれ。モデル名のロゴの「ハイフン」が全角と半角で異なっているのがわかります?(ODー1とOD-1)



「JRC4558D」というオペアンプが搭載された個体。銀ネジの中期モデルでは標準的な回路のようです。


最初期モデル

2015年に「プロフェッショナル・エフェクター・テクニック 3」を執筆したときに、仕様の異なるモデルをお借りして、弾き比べを行ったことがあります。このときは4種類の個体をテストしています。



この写真の1番右側は「レイセオン製クアッド・オペアンプ RC3403ADB」が搭載されていた最初期のモデルです。下はその内部写真。



最初はサウンドにそれほど大きな違いはないように思えました。が、ES-8側のバッファーをオフにしたら、かなり違った結果に。実は79年代後半頃、オペアンプの選定だけではなく、バッファー回路の設計も変更されており、それに伴って入力インピーダンスの仕様も変更されているのです。


さて、今回のリイシューの出来映えは?

今回のリイシュー、まがいも無い元祖OD-1のサウンドが完全に再現されています。最初期モデルと同じタイプのクワッド・オペアンプを採用し、入力インピーダンスも当時と同じ「220kΩ」と低い値に設定されています。ギター側の最前段に接続し、ギターボリュームをやや絞ると、独特のマイルドなギター・サウンドが得られます。一方、前段に現行のモデル(例えばBD-2などをオフ状態で)を接続すれば、OD-1に入力されるインピーダンスは低くなりますから、滑らかでスッキリしたサウンドになります。初期型のサウンドの特徴はオペアンプというよりも、この入力インピーダンスの影響が大きいのでは?と個人的には思っています。今回のモデルを購入した際には両方の接続方法を是非試してみてください。それにしても、ビンテージ系の真空管アンプとの相性は抜群。コンプレッションの効いたチューブ・アンプをブーストすれば、伝説のロック・サウンドが甦ります。


ということで、今回のBOXセットの発売は8月下旬とのこと。限定品なので、欲しい人は早めに予約をされたほうがよいかもしれません。


詳しくは公式サイトをご覧ください。



2017年6月2日金曜日

待ってましたのBOSS MS-3登場!

 1年近く、ブログを休んでしまいました。昨年に出版した「プロフェッショナル・エフェクター・テクニック 4」の執筆で文章を書くのに疲れてしまったのかもしれません。何せ、長文を書いたのは大学の卒論以来、それを4冊も書いたのですから。はい、僕は元気です。

本来なら近況報告などをすべきかもしれませんが、とりあえずそれは置いておいて表題の件。個人的にも待望の新製品が発表になり、久々にブログを書きたくなってしまった、という次第です。

MS-3って何だ?

一見、スイッチャーのように見えるこの製品。実はスイッチャーとマルチ・エフェクターが合体したようなモデルです。3系統のループに好みのペダルを接続してコントロール。さらには内蔵されたエフェクターを組み合わせることで無限のサウンドを作り出すことができます。“GT-100”や“GT-001”に搭載されているエフェクトの内、「Pre Amp(アンプ・モデリング)」を除いたほぼ全てのエフェクトが搭載されています。「WARP」や「S.BEND」といった“ACCEL系”、「Tera Echo」や「OVERTONE」といった“MDPもの”、歪みエフェクター、モジュレーション系、空間系などを6系統を同時使用可能。ループに接続した3ループと自由に組み合わせられます。L1〜L3の接続順序を内部で変更はできませんが、内蔵エフェクトを個別にL1の前やL3の後ろには自由に配置できます。

※そうそう、“MS-3”にはBASS用のエフェクトも多数搭載されています。



ペダル・ボードに組み込んで使うことが想定されていることもあって、ライン接続やヘッドホンでのモニターを行いたい場合は、別の機材と併用する必要があります。ライブやセッションなどでアンプにつないで使って欲しい、ということなのでしょう。

こんな人にオススメ!

・歪み系などはお気に入りのペダルを使いたい人:“GT-100”にもSend/Returnがありますが、1系統だけですからね。1系統に複数台のエフェクトを接続し、ペダル側のON/OFFを切り替えれば、さらに多くのバリエーションが得られます。

・機材をコンパクトにしつつ、こだわりのペダルも併用したい人:「スイッチャーが便利なのはわかるけど、ペダル・ボードが大きくなりすぎ」なんて方にはピッタリですね。

ってなわけで、暫定的ですが、ボードに載せてみました。以前は5系統のスイッチャーで組んでいたボードなんですけど、まだまだスペースに余裕があります。実際に持ってみるとその軽さに驚愕。さすがに“GT-1”の手軽さには適いませんが、ギターと一緒の持ち運びも楽勝でしょう。“DD-500”などを載せてMIDI制御しても良いかも〜。




ここではL1に“ARCHER”、L2に“DS-1X”、L3に“ST-2”を接続していますが、「“ARCHER”の前段にフェイザーをつなげる」とか、“MS-3”内蔵の“OD-1”のモデリングで“ST-2”をブーストするなど、手軽にいろいろな実験を行えます。

カスタマイズも自由自在


実際に触ってみるとわかりますが、自分の使いやすいように自在にアサインを変更できる点も見逃せません。例えば、右上のフット・スイッチは通常は「メモリー・モード」と「マニュアル・モード」の切り替えで、長押しするとチューナーが起動するようになっていますが、逆の設定、つまり、通常はチューナーのON/OFFスイッチとして使い、長押しで「メモリー←→マニュアル」にするのも、いとも簡単に設定できます。






GTシリーズではお馴染みのアサイン系のカスタマイズもフル装備。本体スイッチや外部スイッチを自分の使いやすいようにアサイン設定可能です。また、各エフェクトのON/OFF状態もLEDで一目で確認できます。




発売は6月10日(土)に決定。うわっ、もうすぐですね。

公式サイトでも情報が公開になっています。基本的な使い方を解説したムービーも既に公開済み。因みにこの動画制作を担当させて頂きました。よかったらこちらもご覧ください。


下部のYouTubeのアイコンをクリックすると大きな画面、日本語の字幕付きで見られます。
または、右下のアイコンでフル・スクリーンにした後、歯車アイコンで字幕を設定できます。

今後はちょくちょく更新しますので、また見にきてください!

2016年6月25日土曜日

インピーダンスとバッファーの役割

間が空いてしまいましたね。スミマセン。こちらは元気でやってます。

BOSSのペダル型チューナーのニューモデル=”TU-3W”には内部のバッファー回路をON/OFFできるスイッチが搭載されています。これを使うと、接続を変更すること無く、簡単にバッファーの効果を確認できるんですね。いろいろテストしてみたら面白い結果が得られたのでレポートしてみたいと思います。


その前に簡単に「インピーダンス」について解説してみましょう。

ギターの出力インピーダンス

普通のエレキギターの出力インピーダンスは、シンセなどと比較すると高く(=概ね250kΩ以上で1000kΩ以下)、その結果、ノイズが乗りやすく、ケーブルの長さにも影響され主に高域成分が劣化しやすい特性になります。ギターから10m以上のケーブルを使うとかなり「ハイ落ち」するなんてことはご存じですよね?

しかも、そのインピーダンス値は一定ではなく、ピックアップの種類、ギター側のボリュームの設定、さらには周波数帯域(演奏する音域)などにも影響を受けます。まとめると次のようになります。

・シングルコイルよりハムバッカー搭載のギターのほうがインピーダンスは高い
・フルテンよりボリュームを半分~7掛け程度に設定するほうが高いインピーダンス
・高い音域のフレーズを弾くほうが、出力インピーダンスはより高くなる

これらの組み合わせでインピーダンス値が決まります。

エフェクターの入力インピーダンスにも注目!

数100kΩの高いインピーダンスのギター信号を、それよりも低い入力インピーダンスの機器に入力すると、音は大々的にこもります。例えば、「入力インピーダンス=16kΩ」の"RE-201”などような古い機材に、ギターをそのまま接続するとモコモコにこもってしまいます。


一方、近年のBOSSのコンパクト・モデルの仕様を確認してみると、

入力インピーダンス=1MΩ(=1000kΩ)
出力インピーダンス=1kΩ

となっています。”TU-3W”のバッファーをOnにした場合も同じスペックになります。

ギターの出力インピーダンスよりも、高い入力インピーダンス仕様のエフェクターの回路を通過すれば、ギターの信号はロス無く低いインピーダンス値に変換されます。BOSSのコンパクト・エフェクターのほとんどは、バイパス時もバッファー回路を通り、エフェクト・オフ時もインピーダンス変換が行われます(このような回路は「バッファード・バイパス」と呼ばれます)。

低いインピーダンスに変換すると、
・外来ノイズに強い。
・長いケーブルなどを使っても劣化(主にハイ落ち)しない
・多数のエフェクターを直列にしても劣化しにくい
・スイッチング・ノイズが無い

などのメリットがあります。

「長いケーブル」というのは「エフェクター以降」のケーブルのこと。ギターからエフェクターまでを長いケーブルで接続すれば当然ハイ落ちします。

※もっとも、このハイ落ちを狙って敢えて長いケーブルを使う人もいます。カールコードとかね。

検索すればさらに詳しい解説がいろいろ読めると思います。島村楽器さんのサイトにもわかりやすい記事がありました。→こちら

エフェクターを直列接続して実験

さて、ここからが本題。バッファーは上記のメリットがある反面、何度も複数のバッファーを通れば、多少、音質に影響がでます。一方、バイパス・オフ時にバッファーを回避する仕様の回路を搭載したモデルは「トゥルーバイパス」と呼ばれ、バッファーの影響は回避できる反面、バッファーのメリットがそのままデメリット、つまり、「ハイ落ち」、「ノイズ」などのリスクとして現れます。

バッファーをオフに設定したスイッチャー”ES-8”を使って、8個のモデルのエフェクトをオフ状態で接続して実験してみました。全てがバッファード・バイパスのモデルの場合は、音質的な変化よりも若干音量が下がる傾向です。個人的にはわずかに低域が削れる印象も。

一方、全てトゥルーバイパス機を8台つなぐと大幅に高域が削られた、よく言えばマイルド、悪く言えばこもったサウンドになりました。


多数のエフェクターを直列で接続する場合、個人的にはどこかでバッファーを通してロー・インピーダンスに変換したほうが扱いが楽と感じていますが、組み合わせや接続順によってサウンドが異なってくるので注意してください。

回路による音の違い

そこで、今度は代表的な回路を搭載したモデルの前段に"TU-3W"を接続し、バッファーを切り替えた場合の影響について考えてみました。どちらが良いとか悪いとかではなく、音の変化の傾向だけを理解していただければOKです。トゥルーバイパス・モデルのインピーダンス値はエフェクト・オンの時だけ有効になります。

・TU-3W→ファズ・フェイス
前回の記事でも書きましたが、ジム・ダンロップ製のファズ・フェイスはトゥルーバイパス仕様。エフェクト・オン時の入力インピーダンスは10kΩとかなり低いため、ギターを直接接続した場合と、バッファーを介して接続した場合では、音色やギター側のボリューム操作時の振る舞いが全く異なり、特にボリュームを少しでも下げると急激に歪み量が減るのが特徴です。60年代当時のサウンドを求めるなら、TU-3Wのバッファーをオフにするか、ファズ・フェイス→TU-3Wの順で接続すればOKです。


・TU-3W→TS9
Ibanezの"TS9"はバッファード・バイパス機。入力インピーダンス=「500kΩ」なので、ギター直後に接続した場合はバイパス時も若干甘いサウンドになります。したがって、TU側のバッファーをオフにするとややマイルドに、オンにするとフラットなサウンドになります。実はBOSSの現行モデルでも”SD-1”と”DS-1”だけは入力インピーダンス=「470kΩ」。ギター直なら同様にやや甘いサウンドになる傾向です。


※エフェクト・オン時のサウンドも前段のバッファーのON/OFFで音が変化します。

・TU-3W→BD-2
“BD-2”は入力インピーダンス=「1000kΩ」、出力=「1kΩ」。インピーダンス的には”TU-3W”の設定に関係無く、”BD-2”の出力はローインピーで固定。パッチケーブル1本分だけハイ落ちするものの、耳では違いはわからないのでは?”TU-3W”のバッファーはお好みで。


・TU-3W→EP Booster
「Xotic」製のこのモデルはトゥルーバイパス仕様。エフェクト・オン時は入力インピーダンスが「1MΩ」、出力側が「2kΩ」。バイパス時はTUの出力インピーダンスが保持されます。

A. ”TU-3W”=バッファー=オフ、"EP Booster"がバイパスの場合:
ハイ・インピーダンスのまま次の機器に出力されます。

B. ”TU-3W”=バッファー=オン、"EP Booster"がバイパスの場合:
ロー・インピーダンスの信号が保持されます。

C.  ”TU-3W”=バッファー=オフ、"EP Booster"のエフェクト=オンの場合:
"EP Booster"の入力インピーダンスがが高いので、フラットなままロー・インピーダンス出力。エフェクトが掛かるので音色自体も変化します。

D.  ”TU-3W”=バッファー=オン、"EP Booster"のエフェクト=オンの場合:
「C」とサウンド的にはほとんど同じ。”EP Booster”のON/OFFを切り替えて使用するならTUのバッファーはオンが良いかも。(どの状況でもインピーダンスが安定するから)

”EP Booster”→”TU-3W”と接続して、状況によってTU側のバッファーの設定を考える方法もあります。


・TU-3W→Sweet Honey OD(SHOD)
「Mad Professor」の歪み系はモデルによって入力部の回路が異なっているようですが、このモデルはトゥルーバイパスで入力側は「260kΩ」、出力インピーダンスは「25kΩ」。状況によってインピーダンスが変わるので結構ややこしいですね。


A. TU側のバッファー=オフ、SHODのエフェクト=オフの場合:
ギターからのハイ・インピーダンスのままの信号が出力されます。

B. TU側のバッファー=オン、SHODのエフェクト=オフの場合:
TUの出力インピーダンスが保持されます。

C. TU側のバッファー=オフ、SHODのエフェクト=オンの場合:
ギターをSHODに直接つないだ場合と同等。SHODのインピーダンスが低めなので、ファズ・フェイスほどではないものの、ややマイルドで、ギター側のボリューム設定などにクセが出ます。信号はロー・インピーに変換されて出力されます。

D. TU側のバッファー=オン、SHODのエフェクト=オンの場合:
SHODにロー・インピー(1kΩ)が入力されるので、「C」とはサウンドも振る舞いも異なります。

「ギター→SHOD」のサウンドを重視するなら、これも「SHOD→TU-3W」と接続した方が良さそうですね。後段に何を接続するかにもよりますが…。

・TU-3W→Phase 90
70年代当時のMXRのモデルは、エフェクト・オフ時にはバッファーは通らないものの、回路の一部を経由して出力されるやや特殊な設計になっています。エフェクト・オフ時の信号ロスを改善する目的で”TU-3W”のバッファーをOnにするのがオススメ。


これらのことを踏まえていろいろ実験してみてください。でも、実際にはこれらが混在する形でエフェクターを使用することになり、それぞれのエフェクトのON/OFF状況によって事態はさらに複雑化します。これは、先日のセッションに持って行ったセット。うーん、悩みます。


JC-120とバッファーの話

スタジオなどで"JC-120"を使って実験したことはありませんか?「直接JC-120にプラグインした場合と、バッファー回路を通ったエフェクターを介して接続すると音が違う」と感じた人もいるでしょう。実際に”TU-3W”のスイッチを切り替えながら"JC-120"でプレイすると、確かにわずかながらサウンドが異なりました。


“JC-120”のスペックを確認すると、入力インピーダンスは「680kΩ」になっています。フェンダーなど、「1MΩ」に設定されているアンプの入力インピーダンスと比べてやや低い数値です。「ギターを直接JCに接続」し、「ハムバッカーで」、「ボリュームをやや絞って」、「高い音域を弾く」、つまりより高いインピーダンスで入力すると、バッファーを通した場合と比較すると、若干音が甘くなるのが確認できると思います。これが「BOSSのエフェクターを通すと音がブライトに聞こえる」理由なのです。逆に、トゥルーバイパスのモデルだけを多数直列で"JC-120”につなぐと、バイパス時にはかなりハイ落ちするっていうことは覚えておくと良いと思います。まあ、JCをアンプ直で鳴らす人は少ないでしょうし、1個以上のバッファーを通せばOKということです。


また、“JC-120”の「LOW」インプットは更にインピーダンスが低い(=100kΩ)ので、バッファーを通らない信号は接続しないほうが無難です。

※エフェクター前段にワイヤレス・システムを使った場合や、ギター側にプリアンプが内蔵されている場合は、常にロー・インピーダンスになります。念のため。

今回は長文かつ専門的な内容になってしまいましたが、お役に立てたでしょうか?たまにはゆるい記事も書きたいと思う、今日この頃です。

註:「トゥルーバイパス」という言葉は、機械式スイッチ仕様の古いモデルを含む場合と、90年代以降のLED表示を可能にしつつ、バイパス時にバッファーを通らないモデルだけを指す場合とがあるようです。今回のこの記事では前者も「トゥルーバイパス」と表記しました。


2016年6月3日金曜日

TU-3Wとチューナーの話

 いよいよ「技クラフト・シリーズ」のチューナー=”TU-3W”が発売になります。5機種目の技クラフト・モデルということですね。


主なスペックは以下の通り。
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・技WAZA CRAFT の魂が宿った世界標準のペダル・チューナー。
・定評あるチューニングとプレミアムなバッファをひとつのペダルで両立。
・世界標準のチューニング機能をTU-3 からそのまま踏襲。
・オーディオ回路を新たに設計し直し、今までになくピュアな信号伝達を実現。
・バッファとトゥルーバイパスの切り替えにも対応。
・安心の長期5 年保証。

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ブルーのインジケーターがカッコイイ!


TU-3などと同様に左側のスイッチを長押しすることで「高輝度モード」になります。野外などで使用する場合などに明るく表示させることができます。


詳細はBOSSの公式サイトでご確認ください。

チューナーが無かった時代

 アマチュア時代(1970年代中盤)を思い返すと、便利なチューナーなんていうものは存在せず、ピアノや音叉(おんさ)に合わせて耳でチューニングするしかありませんでした。これが音叉さ!!見たことも無いなんて人もいそうです。


 70年代の後半になると、廉価なモデルが各社から発売になります。BOSS製としては、下の写真の左上の”TU-120”(1978年発売)が第一号機のようですね。最初はLED仕様だったんですね。僕にとっての最初のチューナーは針式のKORG製”GT-6”。購入した時はメチャクチャ嬉しかったですね。


 BOSS製針式モデル(上写真の右上)の”TU-12”が1983年に発売になると、チューナーのスタンダード機としてロングセラーに。個人的にも84年の”TU-12H”(下写真中央)と合わせたら、5台以上は買ったような気がします。(奥は"TU-15"、手前は"TU-80")


 1998年にコンパクト型チューナー=”TU-2”(右)が発売になるとこれが大ヒット。BOSS社内でもこれほど売れるとは思っていなかったらしいですよ。そしてその後継機が現行の”TU-3”(左)というわけです。


ニューモデル=”TU-3W”の特長

”TU-3W”はチューナー機能に関しては従来のモデルと変わらないのですが、色づけの少ないサウンドが持ち味のバッファー回路とトゥルーバーパスを切り替え可能になっています。

 そこで、スイッチャー=”ES-8”を使ってバイパス時にサウンドの違いが現れるかどうかを実験してみました。ES-8のループにTU-3W”と”TU-3”を接続して、ES側のバッファーのON/OFFやTU-3Wのアウトプット・スイッチを切り替えながらサウンドチェックを試みたのですが、チューナー単体を使っているだけではそれほど大きな違いは認められませんでした。後段に多数のエフェクターを接続する場合や、特殊な機材に接続する時に威力を発揮するのではないかと思われます。また、大音量での使用時にはノイズ面でのメリットがありそうです。


バッファーとトゥルー・バイパス

 BOSSのコンパクトとしては初めて「トゥルー・バイパス機能」が搭載されました。バイパス時にバッファー回路を通るか否かを、スイッチ1つで切り替えられる点がユニーク。使用環境によって簡単に切り替えられるので、耳に聞こえるサウンドを基準に選択可能というわけです。前述のように、トゥルーバイパスのエフェクターを直列で多数接続する場合や、ライブ時の立ち位置からアンプまでの距離が遠く、長めのケーブルを使用する必要がある場合はバッファーをOnに、後段にバッファー搭載モデルを接続したり、TU-3Wをエフェクターの最後段に接続する場合はトゥルー・バイパス側を選択するほうが良いかもしれません。因みにトゥルー・バイパス回路搭載のエフェクターも、ほとんどのモデルはエフェクトをOnにした場合はバッファーを通ることも覚えておきましょう。


 ハイ・インピーダンス入力が前提の古いファズやワウペダルの場合は、バッファーをスルー(=トゥルー・バイパス)を選択したほうが本来のサウンドになります。BOSSの”PW-3”や写真のようにファズ・フェイス系を後段に接続する場合は、そのサウンドは激変しますので試してみてください。(絶対的にバッファーOFFが良いということではありませんよ!お好みで選択してね)


 実はこのTU-3Wの回路は通電されていない場合は、スイッチの位置に関わらずトゥルー・バイパスに自動的に切り替わる仕様になっています。電源ケーブルの断線や電池切れなどのトラブル時も信号経路は途切れない配慮がなされているのです。

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まだまだ、ネタ的には書き足りないのですが、長くなってしまったので続きは次回に。お楽しみに!

2016年5月21日土曜日

BOSSの新チューナー=TU-3S登場!

先のドイツで開催されたフランクフルト・メッセでBOSSの新しいチューナーが発表になりました。まずは、見た目もカワイイ"TU-3S"をお借りしてテストしてみました。

“TU-3S”はこれまでの”TU-3”のフットスイッチ部を省略し、小型化&軽量化したモデルです。手のひらに載せてみるとその軽さが実感できます。ノーマルの”TU-3”と違うのは、「チューニング機能のOn/Offスイッチが無いこと」、「バイパス・アウト・ジャックのカット」、「ACアダプターのみで動作」という点。


また、パネル面に傾斜が付けられているところも特徴。


机上やアンプの上、立ち位置から離れた場合など、前方から見たときの視認性がアップしそうです。


他のエフェクターへの電源供給機能はこれまで同様に搭載。2系統のパラレルDCコードが同梱されています。


ボリューム・ペダルやスイッチャーのチューナー・アウトに接続しているユーザーには特にオススメ。エフェクター・ボードの省スペース、軽量化にもつながります。僕も早速ボードに載せてみました。


BOSSのコンパクト型チューナーの人気の秘密は、スピーディーにチューニングを行えるところ。表示が速く、しかもふらつきが少ないので、ライブ時の曲間などで時間の余裕が無い場合でも安心です。プロのユーザーが多いことも納得です。

TU-01も!

また、”TU-01”という新しいクリップ式チューナーも発表になっています。チューニングが合うとディスプレイ全体の色が「白」→「緑」に変わるのでわかりやすいですね。



何と技クラフト・シリーズの”TU-3W”も新登場。こちらは次回の記事で詳しくご紹介しましょう。