2013年4月16日火曜日

いろいろ実験中


最近は、何かしらやらなければならないことはあるものの、比較的時間に余裕があるので、機材関係のテストを集中して行っています。先日購入したテレキャスも含めてスタジオに持ち込んで、いろいろな組み合わせを試しているんですが、それがもう面白くて!まずは先週の金曜日に市川市行徳にある「Wildflower Studio」を予約して爆音で弾いてきました。この日に持って行ったギターは「新テレキャスター」とローランド「G-5」の2本。


テレキャスターで新たに判明したこと
まずは、テレキャスをマーシャル「JCM-2000DSL」に直刺しして「ガキーン」と弾いてみました。

「もう、気持ちいいッス!」

家で弾くのとは勿論違う音圧にウットリ。ハイもしっかり鳴る感じなのにうるさく無い。今時のロックなサウンドではやっぱりなくて、もう少し繊細なプレイに向いているギターかもしれません。そこで、いろいろタッチを変えたり、ボリューム操作をしたりして…。

「ん?」

ボリュームを絞ると低域がタイトになる感じ。前回の記事でヴィンテージのテレキャスのサーキットにはいろいろな種類があることをご紹介しましたが、このギターはサーキット自体はモダンな仕様。まさかと思って中を開けてみると…。


はい、ありました。ボリュームに付いている小さな丸い部品。(左側の茶色)これが、ボリュームを絞ったときにローカットが効くように装着されたコンデンサーです。低域は小さい音量で弾いているとわかりにくいところもありますが、不覚にも家で弾いている時には気付かなかったのです。前回、あんなに偉そうに書いていたのに…。申し訳ありません。で、僕には不要な仕様なので速攻で排除。(因みにこのパーツがあってもなくても、ギター側のボリュームがフルの時はサウンドの変化はありません)フェンダーのUSのサイトでは回路図が公開されていて、それを見る限りこのような仕様のギターはラインナップ上には無いように見えるんですけどね。(全部は見てませんが)カスタム・ショップ製だからでしょうか。


オーバードライブ弾き比べ
最近、入手したものも含めて弾き比べ。スタジオで用意して頂いたアンプは3台。「Roland JC-120」と「Marshall JCM-2000DSL」と「Fender Deluxe Reverb」。


今回持って行ったエフェクターは以下の通り。
・Fulltone OCD
・Mad Professor 「Sweet Honey Overdrive」(以下SHOD)
・Ibanez 「TS-9」
・tanabe.tv「禅駆動」(これは借り物ですが)
・BOSS「SD-1」
・BOSS「DA-2」
・BOSS「ST-2」


この中で特に面白かったのが「SHOD」。今まで弾いたことのある、どの歪み系エフェクターとも違う質感です。「ケンタウルス」と似ているという噂もあるようですが、アタック感はもっとソフトな印象で、僕にはちょっと違う感じに思えました。単体で弾くとどうってこと無い音色なんですが、他の歪み系と組み合わせたり、アンプを歪ませてブースターとして使うとちょっとナイスな感じです。

そんなわけで、4月14日(日)には仕事のリハでもこれを持って行って使ってみました。ST-2やDA-2をブーストするような使い方をテスト。うーん、これ結構イイかも。今週予定されているライブでも使ってみます。


他のモデルに関しては、細かくレビューを書くともの凄〜く長文になってしまうので、別の機会に個別に公開したいと思います。

もっと時間が欲しい!
話は戻りますが、金曜日のスタジオ時間は全く休憩無しで弾いていたのにもかかわらず、気が付くと予定の時間がもう目前。全然足りず1時間延長してしまいました。それでも、予定していた組み合わせ実験などが消化できず、4月15日(月)に改めてスタジオ入り。今回はODだけじゃなくて、ディストーション系も含めてテスト。この日はSGとストラトを持って行きました。


とても有意義で楽しい時間を過ごせました。スタジオのオーナーの方にもとても親切にして頂けてありがたかったです。

そんなことを踏まえ、今週から来週に掛けてはライブや原稿書きにいそしむ予定です。

2013年4月5日金曜日

テレキャスター・コンプレックス

以前からフェンダーUSA製のテレキャスターを所有していないことで、

「自分にはこのギターについて語る資格はないな~」

と残念に思っていたんですが、遂に購入してしまいました。購入前にいろいろ悩んだり、購入時に多くの楽器の試奏できたのも、自分にとって楽しい時間となりました。

まずは資料を調べてみることから。ストラトに比べるとテレキャス関係の書籍って少ないんですけど、シンコー・ミュージックの「テレキャスター・オーソリティ」っていう本がかなり参考になりました。テレキャスターというギターに対する誤解がいくつかあると思うのですが、この本でわかったことをまとめてみましょう。



テレキャスターに対してのよくある誤解

「誤解1」・・・テレキャスターはシャキシャキとしたカッティング向きのギターである

これは70年代のテレキャスターのイメージが強い人にありがちな誤解です。テレキャスは1969年にサーキットの仕様に変更があり、ターン数が大幅に減らされた上、ボリューム・ポットの値が「250kΩ」から一気に「1MΩ」に置き換えられたことによるものなのだそうです。後述するように、テレキャスターのサウンドは本来的には無骨なサウンドが特徴のギターと言えそうです。

「誤解2」・・・ボリュームを絞るとハイパスが効き、タイトなサウンドになる

これも1969年から70年代後半までの仕様。80年代以降は廃止されます。因みに同様の回路はPRSの「Custom 24」にも採用されています。僕のPRSはコンデンサーを外してしまいましたが。

「誤解3」・・・テレキャスターは1ボリューム、1トーンである

ストラトのサーキットが基本的には一環して同じ仕様であったのに対し、テレキャスは年代により様々な仕様が存在したらしい。「モダン」な回路は1967年以降のもので、それ以前は2つのピックアップのミックスができないものや、レスポールのようにバランスがとれるものもあったそうです。

テレキャスに関する私的レビュー

今回、沢山のテレキャスを試奏させて頂きました。そんな中でわかったことをまとめてみます。但し、本物のビンテージを弾いた経験はないので、あくまでカスタム・ショップ製だけの私的なレビューですけど。

テレキャスは大きく分けるとキャラクターが3種類程度に分けられると思いました。

1.後期型(67年~70年代)
これは前述の通りです。ストレートな70年代リイシューはほとんど無い一方、ハムバッカー搭載のカスタム、デラックス、シンラインなどのモデルは現在でも数多く生産されています。が、今回はパス。

2.中期型(59年~66年)
ローズ指板の仕様で、最近のロック系(特に日本)のアーティストが使用しているのをよく見掛けます。バインディング付きアルダー・ボディーの「カスタム・テレ」も有名ですね。サウンドはジャキジャキ、ガキガキとしたアタックに金属的な響きがミックスされたようなサウンドです。音を歪ませた時にも芯がしっかり残るので、ロック系のギタリストに好まれるのでは?試奏を行うまではこのタイプのものを購入するつもりでした。

3.初期型(51年~58年)
アッシュ・ボディ、メイプル指板の最もテレキャスらしいルックスのモデルですね。サウンドは「2」と全く異なります。ロック的な芯のあるサウンドではなくてもっと「木の感触」が強いパキパキ、コリコリとした独特の音です。54年までのモデルはサドルがブラス製なのが特徴です。


候補に残った4本の写真。左から、A.マスター・ビルダーのシェリル・クロウ・モデル、B.カスタム・ショップ製のアメリカン・デラックス、C.ローズ指板仕様の59年製レリック、D.51年仕様のノーキャスター・リイシュー。どれも素晴らしい!

で、今回買ったのは…

写真の1番右のモデルを購入しました。ブロードキャスターからテレキャスターに至る過程のいわゆる、51年製「ノーキャスター」と言われるモデルのレリック・リイシューです。驚くほど軽いアッシュ・ボディに極太のネックが搭載されています。今回このモデルを購入した動機はひたすら「好奇心」。いつも同じ価値観で楽器を選んでしまうと、モデルは異なっても同系統の個体に集中してしまいますが、今回はこれまでに所有したことのないベクトルのギターを敢えて選択してみたんです。

もう、嬉しくて毎日ずっと弾いてます。これでテレキャスに対するコンプレックスもひとまず解消。でも、「レスポール・スペシャル・コンプレックス」や「ES-175・コンプレックス」や「グレッチ6120・コンプレックス」を解消できる日はいつかやって来るでしょうか?(笑)