2013年10月21日月曜日

浜松〜茨城〜高知へ、怒濤の1週間

本当に久しぶりの更新になってしまいました。この期間はとても忙しく過ごしていました、特に先週からの1週間は。仕事も充実していましたが、それ以上に多くの人と会い、沢山の音楽の話をできたことが何よりの収穫でした。そんなことも含めてザッと近況報告します。

浜松へ
10月15日(火)〜10月18日(金)の4日間はローランドさんの仕事で浜松に行ってました。仕事自体は16日からの3日間だったのですが、16日は台風だったじゃないですか。ということで急遽15日の夕方から、ということになりました。15日の夜は、静岡県内にしかないハンバーグのチェーン店「さわやか」にて「げんこつハンバーグ」を食べました。聞くところによれば、多くの有名人もわざわざ食べに来る店なのだそうですよ。炭火で焼いたボリュームたっぷりのハンバーグ、美味しかったです。


16日は東名は通行止めになりましたし、新東名は風の影響で事故もあったそうですね。前日のスケジュールが空いていてラッキーでした。

茨城県でライブ
10月19日(土)は茨城県小美玉市でのライブ。G-5、GT-100やDA-2など、いつもの機材をJC-120以外で鳴らしてみようと思い、今回はいつもはレコーディング用に使っているBad Catの「Cub Ⅱ R」というモデルを持って現地入り。このアンプの出力はわずか15W。でも、最近はモニターがイヤモニになっているし、ここの現場では大音量は必要無いので丁度良かったかも。この件に関しては後日、まとめてレポートします。


高知でエフェクター・セミナー
そして、10月20日(日)は高知の楽器堂さん主催のエフェクター・セミナーのインストラクターをしてきました。ここでセミナーをやらせていただくのは約10年ぶり。イオンモール内の音楽教室を併設している立派なホール(ライラホール)を使わせて頂きました。観に来て頂いた皆様、ありがとうございました!面白かったでしょ?読者の皆様もお住まいの近くでセミナーが開催される際には是非、お越し下さい。


セミナー終了後はローランドさんの担当者やお店のスタッフの方々と居酒屋へ。皆さん、僕の息子といっても良いくらい若い方々だったのですが、音楽の話は年齢も関係無く盛り上がれるので良いですよね。カツオの刺身やくじらベーコンなど、高知料理も堪能致しました。楽器堂のスタッフの皆様、お世話になりました!

また買ってしまいました
原稿を外出先で書いたり、プレゼンをするにはややパワー不足なiPad2の代わりに、MacBook Airの11inchバージョンを購入しました。今回初めて旅に持っていったのですが、バッテリーも長持ちするし、15インチに比べて遥かに軽量なのが嬉しいところ。ギター・ケースのポケットに入れて持ち運ぶことも充分可能です。このブログの文章を帰りの飛行機の中で書いていたら、あっという間に東京に着いてしまいました。これは便利で楽しいかも…。


高知城にも行ってきた
宿泊したのが、はりまや橋のそばのホテルで、飛行機も昼の便だったので、午前中に高知城の見学にいってきました。今日の高知の天気は快晴。真っ青な空を背景にした高知城は美しかったです。日本史などはあまり詳しくないのですが、このように現地に行って展示されているいろいろな資料などを読むと忘れないですね。それがネットで見ているだけとは違うところなんでしょう。


ギターをホテルのフロントに預けて、市電 路面電車(←ご指摘頂きました)に乗って「高知城前」で下車。実は歩いても行ける距離でした。高知城は高台の上に建てられているので、石段をかなり登ります。ギター置いてきてよかった〜。先日行った広島城は内部は鉄筋でしたが、この城の本丸は江戸時代のままの木造建築なのだそうです。急な階段はギター持ってじゃ上れません。天守からの眺めも絶景でした。


-------------------------------------------

明日からは家での制作系の仕事にシフトします。いろいろな仕事をスイッチしながら暮らすのは、気分がリフレッシュできてとても良い感じ。ブログも次回からは楽器&音楽系の内容に戻る予定です。是非、また読みに来て下さい。

2013年10月4日金曜日

ライブでのモニター・システム

ステージ上から客席を撮った写真です。(Zepp Tokyoにて)ごろごろとプレーヤー向きに置いてある黒い箱がモニター・スピーカーと呼ばれるものです。ライブで使用される様々な楽器の音量バランスを設定し、再生する為の装置を「モニター」若しくは「モニター・システム」と呼びます。この写真のような床置き型のモニター・スピーカーのことを、業界では「ころがし」と呼んでいます。


使用される楽器や歌などの信号は、それぞれステージ袖のミキシング・コンソール(卓)に立ち上げられます。(勿論、それは客席のPA用の卓にも同時に送られています)それらを調整した後、各プレーヤーの前に置いてあるスピーカーに送られる仕組みです。モニターのオペレーターは、リハや本番中もハウリングなどのトラブルが起きないように、そして、各パフォーマーが演奏しやすいような環境をリアルタイムで調整していきます。ここ10年くらい、PA周りの機材と技術の進化(そして小型化も!)には目を見張らされるものがあります。最近はモニターでもコンピューター制御の卓が使われていることが多くなっています。



モニター・スピーカーの種類

モニター・スピーカーも各社から様々なモデルが販売されていますが、当然、モデルによってサウンドも異なります。現在、僕が仕事でお世話になっている音響会社でも複数のモデルを所有していて、いろいろな製品をテストさせて頂いています。

下の写真はいろいろな現場で最もよく見掛ける老舗ブランド「Martin Audio」社のスピーカー。パワフルでガッツのあるサウンドです。


もう一つ試させて頂いたのは「Tannoy」製のもので、分離が良くハイファイなサウンドが特徴です。


イヤモニのシステムを試す

そして、先月からは「イヤモニ」を使ったシステムを試しています。ライブ時に、多くのアーティストがカナル型ヘッドホンを装着しているのを見たことがあるのではないでしょうか?僕自身はアコースティック的な現場だけでしか使用経験が無く、エレキギターを含めたライブ全編で使う機会が無かったので、興味津々で本番の日を迎えました。

まず、ヘッドホン本体について。用意して頂いたものを使っても良かったのですが、ステージで聴く音と自宅での聞こえ方の違いも知りたかったので、定番と言われているSHUREの「SE535」というモデルを自分で用意しました。アーティストさんが使うプロ用モデルは、耳の型を取って特注する、とういうこともあって、数十万円もするそうですが、これは普通のオーディオ用ヘッドホンとしてはちょっと高いかな?という程度の金額で購入できます。楽器の生音が聞こえないよう、遮音性の高い、自分の耳にあったイヤーピースも必要です。


下の写真はAVIOMというブランドの「キューボックス」型のミキサーです。通常はモニター・バランスはオペレーターにリクエストして調整して頂くのですが、これを手元に置いておくことで自分でバランスを取ることができるのです。レコーディング・スタジオには古くからあるシステムなんですけど、ライブでも使用されるようになってきているんですね。


そして、音声信号は16チャンネル分がLANケーブル1本で送られてきます。多くのパートを分けて送れるので、写真にあるようにアコギやボーカルのリバーブまでも調整できます。これはスゴイ!


で、使ってみてどうだったか

まあ、当たり前なんですけど、非常に分離感が良く、クリアなサウンドで驚きました。ただ、ライブ感は薄くなるので、今までのようにサウンドに包まれて演奏する感じよりは、レコーディングしているときのようなシビアな気分になりがちです。もう少し慣れが必要ですが、演奏はとてもしやすいです。

ヘッドホン自体の装着は舞台袖で行いますが、今回のシステムはワイヤレスではないので、ステージに上がってから自分で結線する必要があります。1度だけ結線するのを忘れて、演奏が始まってしまったことがありました。イントロの8小節だけですが、ただの耳栓をしたままのような状態。こんなことも経験です。

因みに昔はどうだったのか

モニター・システムが確立していなかった60年代中盤頃に、ビートルズが自分たちの演奏を聴き取ることが困難で、ライブ活動を止めてしまったのは有名な話。調べてみるとモニター・システムが開発されたのは1960年代の後半のよう。確かに1969年のウッド・ストックのライブ映像では、舞台の横から内向きにモニタースピーカーが置いてあるのが確認できます。(この形態のものは現在「ヨコアテ」と呼ばれています)

ディープ・パープルの「ライブ・イン・ジャパン」のジャケットに使用された武道館でのステージ写真を見てください。まだ、現在のようなまだ床置き型のモニターは置いてなくて、舞台上はスッキリとして見えます。


良く見るとイアン・ギラン(ヴォーカル)の前の舞台下には、縦長のスピーカーが置いてありますが、これは、SHUREの「トーンゾイレ」と呼ばれる形式のPA用スピーカーで、これを代用していたのではないかと思われます。先日訪問した「マーシャル・ミュージアム」にも同じモデルが展示されていました。


1973年のパープルのビデオには床置き型のモニターがバッチリ映っていましたので、その頃に現在のような「ころがし」型のモニターが普及したのではないでしょうか?

僕が音響の会社でバイトしていた1976年頃は、モニター用のコンソールは商品化されていなかった為か、エンジニア自らがミキサーを手作りで製作し、使用していたのを覚えています。写真を撮っておけば良かった。

—————————————————————
ミュージシャンが気分良く演奏するには欠かせないモニター・システムですが、それらの機材を扱う優秀なオペレーターの皆さんあってのこと、ここが重要です。感謝を忘れてはいけませんね。